配当所得の有利な申告方法
上場株式の配当金について確定申告をする場合、総合課税か申告分離課税かを選択します。
所得税・住民税ともに税率が低いほうが有利なのですが、各人の課税所得によって有利・不利が変わります。
その1:所得税の有利・不利
所得税率は累進税率であるため、課税所得金額が900万円以下の方は総合課税を選択した方が、税率が低くなり有利になります。
実質税率<源泉徴収税率 となるため、納税額が減少(又は税金の還付)となります。
課税所得金額 | 累進税率 | 配当控除 | 実質税率 | 源泉徴収税率 |
195万円以下 | 5% | 10% | 0% | 15% |
195万円超~330万円以下 | 10% | 10% | 0% | 15% |
330万円超~695万円以下 | 20% | 10% | 10% | 15% |
695万円超~900万円以下 | 23% | 10% | 13% | 15% |
900万円超~1,000万円以下 | 33% | 10% | 23% | 15% |
1,000万円超~1,800万円以下 | 33% | 5% | 28% | 15% |
1,800万円超~4,000万円以下 | 40% | 5% | 28% | 15% |
4,000万円超 | 45% | 5% | 40% | 15% |
※この表には復興特別所得税(所得税×102.1%)を含めておりません。
復興特別所得税を含めても結論は変わりません。
その2:住民税の有利・不利
住民税は総合課税で申告をすると常に不利になるため、総合課税は選択すべきではありません。
ところが、所得税を総合課税で申告した場合、何もしないと住民税は自動的に総合課税となってしまいますので、 別途、住民税の申告(申告不要 *)をする必要があります。
* 申告不要とは「何もしない」ではなく、「住民税では申告しませんという申告書を提出する」という意味になります。ご注意ください。
課税所得金額 | 累進税率 | 配当控除 | 実質税率 | 源泉徴収税率 |
1,000万円以下 | 10% | 2.8% | 7.2% | 5% |
1,000万円超 | 20% | 1.4% | 8.6% | 5% |
結論:有利な申告方法
課税所得金額が 900万円以下の場合
➡ 所得税は総合課税、住民税は申告不要を選択すると有利。
課税所得金額が 900万円超の場合
➡ 所得税は源泉分離課税を選択すると有利(住民税は自動的に源泉分離課税)
所得税は申告不要(住民税は自動的に申告不要)の場合も効果は同じです。